第ニ章

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「それらを捨てる気はありません。……でも、貴女に好きだと言われてこんなにも嬉しく思う自分がいる。貴女をこのまま大学に帰したくないと思う自分が、います」  先生の瞳には複雑な光が宿っていた。  私はやっぱりこの人が好きだと思った。独り占めしたい。でも、それが叶わないなら。 「私は、先生にとって生徒以上になりたい。それだけが望みです」 「後悔……しますよ?」  先生が私の目を見たまま、低い声で言った。 「先生が、でしょう?」 「二人とも、です」 「望むところです」  先生はふっと目を和ませた。 「なんだ、やっぱり佐倉のまま、ですね」  そう言うと、先生は私の唇を奪った。  私は自分が思っている以上に悪い女だと自覚した。  その日私は午後の講義に出なかった。
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