第三章

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「先生の腕、意外と筋肉付いていて驚きました」  先生の腕枕をしていない方の手を私は触りながら言う。 「意外、ですか? 黒板に数式をたくさん書くのはそれだけで腕も疲れるほどです」 「ふふっ、そうでした。いつも凄い勢いで書いてましたね」  生徒と先生だったのが今では遠いことのように思える。それは少し寂しくもある。もう、私と先生は以前のように純粋な生徒と先生の関係には戻れないのだ。自分で選んだこと。  後悔はしてない。 「どうしました?」  先生が私の目を覗き込んでくる。 「いえ、幸せだな、と思っただけです。何度も夢見た先生の腕の中」  保科先生は私の唇を啄むようにキスをした。 「可愛いことを言ってくれますね」  そして今度は深いキスをする。舌が私の舌と絡み合う。  好きな人とのキスはこんなにも気持ちいいものなんだ、と私はうっとりしてしまう。 「馨、そんな顔をされては帰り辛くなりますね」 「ずっと一緒にいられたらいいのに」  言ってしまって、私は慌てて頭をふる。 「う、嘘! 今のはなしです」 「嘘ですか? それは寂しいな」  先生は魅惑的な目で笑った。 「え?」 「私も一緒にいたいですよ? 意外ですか?」  私は先生に抱きつく。 「嘘でも嬉しい!」 「本当に可愛いな、馨は。もう一度したくなる」 「あん!」
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