煙草が似合わない

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 催眠術にかけられたみたいにぼーっとしているうちに、煙草の箱とライターと携帯灰皿を春宮に没収された。その灰皿で煙草を揉み消した春宮は、品定めをするように椅子に座った狩野を見下ろしながら、自分のシャツのボタンを外していく。まず、左手首。続いて右手首。今度は襟元に移り、上から二つ、三つと小さな貝ボタンを外していく。勿体をつけるみたいにゆっくりと。 「脱がせてみたい?」  春宮はぐっと前屈みになると、狩野の首の後ろに片手を回した。もう片方の手で引っ張るようにして大きく開けた襟ぐりから、鎖骨の窪みが覗く。インナーに着ているシャツは深いVネックなので、その奥にある小さく尖った突起まで見えてしまう。白い肌に浮き上がる淡いピンク。  こくっと喉を鳴らしてしまってから、落ち着け、と自分にツッコミを入れる。女のおっぱいが見えたわけじゃあるまいし、なんでこれで興奮するんだ。  すると、まるで硬くなり始めているのを見透かしたかのように制服のズボンのジッパーを素早く下ろされ、下着の上から撫でられた。 「な、何すんだっ」  びりっ、と痺れるような感覚が腰から背中を走り抜ける。 「何想像してこんなに硬くしてんだよ」 「うあっ」  下着のゴムを引き下ろされ、先端が元気よく飛び出てしまう。  春宮は口角を綺麗に上げて三日月のような形の笑みを作った。 「なあ狩野。お前今、俺のこと犯したいって思ってるだろ」 「……は?」 「身体の自由を奪って、好き放題に弄りたい、って思うだろ」 「お……思うわけねえだろ!」     
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