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「ああ。それじゃ、行ってくる」
キッチンに悦子を残して、寝室に隠してあるプレゼントを二つ出す。いうまでもなく、子供たちへのプレゼントだ。それぞれが欲しがっていトレーディングカードにした。
家計から出したが、今年は僕が昇進したので奮発した。収入が増えたことと、時間が不規則になって遊んでやれないことへの詫びも込めて。
静かにドアを開けて子供の寝室に入る。二段ベッドですうすうと寝息をたててよく眠っている。きっと今日は楽しかったことだろう。
あまり長居すると気づかれてしまう。二人の机にぶら下げてある靴下に、こっそりとプレゼントを入れて立ち去った。そして、再度寝室に行ってリビングに戻った。それに気づいた悦子は冷蔵庫からサワーを取り出し、グラスを二つ、テーブルに置いた。
「ご苦労様。気づかれなかった?」
「大丈夫。よく寝ていたよ」
笑いながら、二つのコップにサワーを注ぐ。
「「メリークリスマス」」
合わせたように二人で言い合って、久しぶりのふたりきりを味わった。二杯目を妻に注いだあと、俺のほうから切り出した。
「いつも済まない。子供の面倒見てやれなくて」
「ううん。幸雄さん、休みの時は家事とかしてくれてるから」
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