0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ありがとう……。それでさ、これ……」
ベタに隠していた小さな包みを前に出す。
「え、これって、私に?」
「ああ。小遣いから出してるから心配しないでいい」
「……開けていい?」
「どうぞ」
そういうと、ていねいに包装を解いていく。
「あ、これ、化粧品?」
「あ、ああ。寒いから、血行にいい化粧品らしい」
炭酸美容といって、肌の引き締めにいいらしい。その大き目のやつを買って、プレゼントに包んでもらった。
アクセサリーだと少し重いし、食品だとすぐなくなるしみんなで食べるとか言い出しそうだった。かといって商品券は味気ない。それで化粧品になった。娘はまだ数年は化粧品という年でない(と思う)から、使うのは妻だけと踏んで買うことにした。
「あ、ありがとう……。なにかもらえると思ってなかったから、うれしい」
悦子の顔がさらにほころんだ。結果的に専業主婦をさせている感謝と詫びの気持ちだった。結婚して八年目にして、初めてのプレゼントだったが、どうやら喜んでくれたらしい。昼飯を二か月おにぎり一個にした甲斐があった。
クリスマス当日の朝、子供たちが大喜びで、プレゼントを見せてくれた。
「おとうさん、サンタさんからプレゼントもらった!」
「これ欲しかったんだ!」
最初のコメントを投稿しよう!