水原さんちのクリスマス

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「ありがとう……。それでさ、これ……」  ベタに隠していた小さな包みを前に出す。 「え、これって、私に?」 「ああ。小遣いから出してるから心配しないでいい」 「……開けていい?」 「どうぞ」  そういうと、ていねいに包装を解いていく。 「あ、これ、化粧品?」 「あ、ああ。寒いから、血行にいい化粧品らしい」  炭酸美容といって、肌の引き締めにいいらしい。その大き目のやつを買って、プレゼントに包んでもらった。  アクセサリーだと少し重いし、食品だとすぐなくなるしみんなで食べるとか言い出しそうだった。かといって商品券は味気ない。それで化粧品になった。娘はまだ数年は化粧品という年でない(と思う)から、使うのは妻だけと踏んで買うことにした。 「あ、ありがとう……。なにかもらえると思ってなかったから、うれしい」  悦子の顔がさらにほころんだ。結果的に専業主婦をさせている感謝と詫びの気持ちだった。結婚して八年目にして、初めてのプレゼントだったが、どうやら喜んでくれたらしい。昼飯を二か月おにぎり一個にした甲斐があった。  クリスマス当日の朝、子供たちが大喜びで、プレゼントを見せてくれた。 「おとうさん、サンタさんからプレゼントもらった!」 「これ欲しかったんだ!」     
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