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水原さんちのクリスマス
十二月二四日、クリスマスイブ。日曜日だがめでたく仕事だ。
年中無休で開設しているコールセンターでスーパーバイザーをしている。聞こえのいい役職だが、実態は苦情処理やオペレーター管理だ。人手が足りなければ自ら電話も出る。たまに二十四時間勤務をすることもある激務だ。
妻の悦子、娘の喜美、息子の慶太は、今日は近所の家族とパーティーをするらしい。レストランを二十人ほど貸し切るんだとか。日曜日だからよその家は旦那も来るだろう。こういう時期、サービス業は恨めしいものがある
夜勤メンバーに引き継ぎをして退社、二十二時を過ぎて家に帰りついた。
「ただいま」
「お帰りなさい。子供たち、もう寝てるよ」
悦子が笑顔で迎えてくれる。疲れがすこしやわらぐ。子供たちが寝てしまっているのは残念だが、今日はそれでも都合がいい。
「パーティー、出られなくて悪かったね。はどうだった?」
「楽しかったよ。私も子供たちも結構食べちゃった。寝付くのも早かった」
眠たそうなゆったりした声で説明してくれた。
着替えて風呂に入り、夕飯を済ませると、日付が変わる時間になった。今日は重要な仕事が残っている。
「ねえ、そろそろいいんじゃない」
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