5 人狼と吸血鬼

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5 人狼と吸血鬼

ジェスリルの話が終わり、一旦解散すると、エリルは部屋で休ませる。 ちゃっかり猫の姿になって、エリルについていこうとしたユリウスの首根っこは、しっかりロウが押さえた。 ロウはエリルとの出会いを思い出していた。 森の中で野犬が騒いでいた。 黒いローブの人間が走り去る姿を目の端に捉え、野犬達の取り囲むモノに目を向ければ、何か布にくるまれた塊があった。 もぞもぞと動く其れは、どこか淡い輝きを伴って、ロウの目を引き付けた。 ロウは野犬の群れを飛び越えて、その塊に近付いた。 「散れ!」 うるさく吼えたてる野犬達を一喝して追い払う。 相変わらずもぞもぞと動く布の下から小さな人の手と頭が覗いた。 (人間の赤ん坊か・・・) 黒髪に黒目の小さな子どもは、ロウに怯えることもなく嬉しそうに手をのばしてくる。 ロウはしばらくそれを見下ろしていたが、まだ遠巻きにこちらを伺う野犬達の気配を感じ、その子どもを連れて行くことにした。 今思い出しても、あの時何故、人間の子どもを助けようと思ったのか分からない。     
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