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大丈夫、夢を見ただけと言おうとしたのに、嗚咽がこみ上げて来て言葉にならなかった。
ロウはベッドに半身を起こした私を抱きしめ、しばらく背中を撫でてくれた。
「エリルすまない。
魔女になったら俺が一生エリルの事を守ると誓う。だから」
「私が人間として生きる事を選んだら?
私が魔女じゃなければ、ロウは私が必要ないのね」
やつあたりだと分かってはいたが、思わず口走ってしまっていた。ロウの顔を見ることができず、私は布団を頭から被ってロウに背を向けた。
怖かった。夢の余韻も、ロウに見捨てられることも、自分が皆の期待に応えられないことも。
しばらくして、ロウが部屋から出て行ったのが分かった。
私はいつの間にか泣き疲れて、また眠ってしまっていた。
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