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そこで気付いてしまった。ジェスリルがいなくなれば、ジョシュも人間界で生きるのが難しくなる事に。
「エリル、具合はどうだい?まだ夜中だけれど、眠れないのかな?」
ジョシュが席を立って私のそばに来ると、心配そうに肩を抱いて椅子に座らせてくれた。
「ジョシュ、お食事中にごめんなさい。ちょっと話があって」
ジョシュは私の向かいの席に座ると、テーブルの上で手を組んで、じっと私を見た。
ジョシュの返事を待って、私も彼を見つめ返した。
ジョシュは少し何か考えて一つ頷き、グラスを手に取った。
「これが何か知っているね?」
「知っています」
「飲んでもいいかな?」
「もちろん、どうぞ」
ジョシュは浅く笑ってグラスを傾けた。
飲み干して目を閉じ、ナプキンで口元を拭う。グラスを持つ手の指先で、ジョシュの綺麗に整えられた爪が鋭く尖って伸びた。
再び目を開けると、いつもは澄んだブルーの瞳が真っ赤に染まっている。口元に酷薄な笑みが浮かび、知らずぞくりと背中が泡だった。
「この姿を見てどう思う?」
ジョシュがそう問いかけてきた。
答えを探す私に、怖いかと聞く。
ジョシュの初めて見る姿に、確かに一瞬恐怖を感じたかもしれない。
けれど、落ち着いた声音も、私を見つめる眼差しもいつものジョシュと変わりない。
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