3 魔女と吸血鬼

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「この世界で生きて行くのは辛くないの?」 質問に質問で答える形になってしまったが、ジョシュの姿を見れば、これが本来の彼の姿であり、普段の姿は擬態だと分かる。 ジョシュは困ったように眉尻を下げた。 「生きて行くのが辛いモノの方が多いんじゃないかな。我々魔族も、人間もね」 確かにその通りかもしれない。 「私は今この瞬間に、エリルが私を恐れて逃げださなかっただけで幸せだけどね」 蕩けるような笑顔で言って首を傾げる姿にドキンと胸が跳ねた。さらりと揺れる銀の髪。美しい青年姿の吸血鬼は、いつの間にか青い瞳に戻っていた。 「さて、エリルの話を聞こうか?」 「ジョシュも私に魔女になって欲しい?」 一瞬そう言いかけて、言葉を飲み込んだ。困らせるだけな気がしたし、今聞いても仕方ない。 「私、しばらくここを出てみようと思って。 ジョシュのところにしばらく置いてもらえないかな?」 驚きに目を見張ったかと思うと、ジョシュはカタンと珍しく音を立てて立ち上がり、片手をテーブルに着き、一瞬にして私の横に立った。 え、テーブル飛び越えたの、今? 驚いて見上げていると、ジョシュは私を立たせ、おもむろに抱きしめた。     
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