3 魔女と吸血鬼

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大きな胸の中にぎゅーっと囲い込まれて、次第に苦しくなってくる。 声が出せず、ジョシュの腕を叩いて正気に戻ってもらおうとしていると、急に腕の力が緩んだ。ホッとしたのも束の間、ジョシュが大きな掌で私の頬を包み込むようにして、こちらを覗き込んだ。背の高いジョシュを思いっきり見上げる形で硬直する。 「やっと私のところに来る気になったんだね。この日をどんなに待ち望んだか!」 若干興奮気味のジョシュの様子に、何か誤解が生じている気がする。 そういえば、以前「エリルは大きくなったら、私のところにお嫁に来るんだよ」と言っていたような。 「そ、そうじゃなくてっ」 焦ってジョシュの腕を振りほどこうとしていると、獣の唸り声のようなものが聞こえ、次の瞬間、ジョシュが床に倒れていた。 一匹の銀色狼がジョシュを組み敷いていた。 ロウだ。 ジョシュはすぐにロウを跳ね除けて立ち上がった。 二人は距離をとって睨みあっている。 元々仲が良いというわけでもない二人だったけど、こんな風に争う姿は見たことがなかった。 「危ないからエリルは下がっていなさい」 ジョシュの言葉に、二人が本気で戦い始めそうな雰囲気を感じて、慌てて二人の間に入った。 「喧嘩しないで!」     
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