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4 魔女と妖精
がっがりしたように肩を落とすジョシュに、ロウはすまないと謝った。
ジョシュはヒラヒラと手を振って気にするなと答えていたが、どこか上の空だ。
私はほっとして気が抜け、その場に座り込んでしまった。何だか力が入らない。
「二人がかりでエリルを困らせるとは呆れたものだな」
いつの間にかジェスリルがダイニングテーブルの端についてこちらを見ていた。
ロウが私の横に膝をつき、私にも謝りながら手を引いて立たせてくれた。
乱れた癖毛の下で、琥珀色の瞳が何か言いたそうに揺れている。
『私が人間として生きる事を選んだら?
私が魔女じゃなければ、ロウは私が必要ないの
ね?』
自分の言った言葉を思い出し、ロウを傷付けたのに、私の方こそ謝っていなかった事に気付いた。
「さっき、酷いこと言ってごめんなさい」
ロウは私の言葉に驚いたように目を見張った。
そしてふるりとかぶりを振って、ぽんと私の頭に手を乗せ髪をかき混ぜた。
ほっとしたような笑顔に、私の心も少し軽くなった。
いつの間にか足元に、今朝の仔猫がやってきていた。
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