1 魔女と私

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今日、私はジェスリルから一冊の素敵な本を貰った。真新しい皮の装丁。表紙にはエリルと私の名が刻印されている。 中身はまだ無い。これから起こる出来事を綴っていきなさい、と言う事らしい。 私はジェスリルから教えてもらう様々な事を、この本に書いていこうと思う。 要するに、此れは魔女の書である。 否、本来の魔女の書はまた別にある。館の一部屋を埋め尽くす革の装丁の数千冊の本たちが、代々の魔女の生涯を自動的に記録しているのだ。 よって、此れは本来の魔女の書ではなく、いわば魔女の書のおまけ、と言うべきものである。 ******** その日は朝から雨だった。 晴れの日も、曇りの日も好きだが、私は雨の日が一番好きだ。それも今日のように、風の無い日にしとしとと降り続ける雨に、家ごとすっぽり包まれているような日がいい。 ベッドにいくつもクッションを重ねて、美味しいお菓子とあったかいココアを用意する。あとは数冊の本を持ち込めば、今日一日はベッドの上で過ごせる。 ぐうたらではない。晴耕雨読である。 ジェスリルも書斎で本を読んでいるはずだ。 私はしばらく物語の世界に飛び込む、つもりだったが、先程から聴こえてくる鳴き声が気になって本に集中できない。 仕方なく、鳴き声の主を探す事にした。     
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