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エリルには凄い力がある。エリルの涙の一雫は、ジェスリルの血より強力な薬だ」
エリルの涙?酔っている為か、ジョシュが何を言いたいのか、ロウには判然としなかった。
ただ、エリルからお守りを貰ったというジョシュには苛立ちを覚える。
「エリルにこの館の主人の責務を押し付けるな」
ジョシュはグラスを持った手でロウを指差し、釘をさすように言った。
「お前に言われる筋合いはない。
そっちこそ勝手にエリルを連れて行くような真似はよせ」
「私はエリルが自分の意思で私のところに来てくれるのを待つさ」
ジョシュは言いたいことは言ったとばかりに引き上げていった。
ロウは一人、エリルの言った言葉について考えた。
エリルを人間の世界へ戻すべきなのか、ロウには分からなかった。ただ、ひどく寂しいような、胸の中に穴の空いたような気がして、落ち着かなかった。
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