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6 告白
「どうして私の所に置いて欲しいなんて言ったのかな?」
ジョシュは穏やかな声音で問いかけてくれる。
「私やっぱりここが好き。ここを離れたくないよ。
でももし、ジェスリルがいなくなって、誰もここに来なくなって、私一人ここに取り残されたらどうしようって思った。
外で生きて行く術なんか知らない。
何も知らない自分が怖い」
私は不安だった。ずっとこの魔女の館を守っていきたいと思うのに、ジェスリルに比べて、無知で子どもの自分は、あまりにも頼りない。
「無理ないさ。
いきなりジェスリルの代わりをしろとか、ここから出て行けなんて、誰も言わないよ。
馬鹿な狼が焦って何か言ったかもしれないけど、気にする事はない。
もしここを出て行くことになっても、私の所に来ればいいだけだ。
私にとってエリルが魔女かどうかなんて関係ないよ。
それに子どもはいつか親離れするものさ。その為の練習を経てね」
ジョシュの言葉が私の心を落ち着かせてくれる。
この優しさに甘えてばかりではいけない。そう思うものの、私に何ができるのか、分からないままに、焦りだけが募っていくようだ。
今はとにかく魔女の書を取り戻す事を優先しよう。
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