550人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
「どうやって魔女の書を取り戻せばいいのかな?」
ジェスリルはこの館から出られないし、魔法もこの館の中でしか使えない。
「力尽くで取り返せばいい」
とはロウの弁。
「争うと後が面倒だろう?こっそり盗み出せばいいんじゃないか?」
とはジョシュの意見。
「ネイドリルの事をもう少し知りたい。話し合って、返してもらえるかもしれないでしょ?」
これは私の意見。
「ん~、取り引きするのがいいんじゃない?何か相手の弱みを握るとかさ」
意外に策略家な一面を見せるユリウスに、みんなが驚きの眼差しを向けた。
「エリル、僕のこと馬鹿にしてたでしょー」
私の感心したような表情を見て、ユリウスが頬を膨らませた。
「来週、ネイドリルの披露目の夜会が行われる。それに参加して情報を集めよう。エリルもネイドリルの姿くらいは見られるはずだよ」
ジョシュの提案に皆頷いた。
そして、これを機にしばらくジョシュの家に行くことになった。
外の世界を見てきなさい、とジェスリルが言ってくれたからだ。
ロウは複雑な表情で私を見ていたが、何も言わなかった。
********
夜半に激しく窓を叩いていた雨も止み、朝日に緑がキラキラと輝いている。
最初のコメントを投稿しよう!