6 告白

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「どうやって魔女の書を取り戻せばいいのかな?」  ジェスリルはこの館から出られないし、魔法もこの館の中でしか使えない。 「力尽くで取り返せばいい」  とはロウの弁。 「争うと後が面倒だろう?こっそり盗み出せばいいんじゃないか?」  とはジョシュの意見。 「ネイドリルの事をもう少し知りたい。話し合って、返してもらえるかもしれないでしょ?」  これは私の意見。 「ん~、取り引きするのがいいんじゃない?何か相手の弱みを握るとかさ」  意外に策略家な一面を見せるユリウスに、みんなが驚きの眼差しを向けた。 「エリル、僕のこと馬鹿にしてたでしょー」  私の感心したような表情を見て、ユリウスが頬を膨らませた。 「来週、ネイドリルの披露目の夜会が行われる。それに参加して情報を集めよう。エリルもネイドリルの姿くらいは見られるはずだよ」  ジョシュの提案に皆頷いた。  そして、これを機にしばらくジョシュの家に行くことになった。  外の世界を見てきなさい、とジェスリルが言ってくれたからだ。  ロウは複雑な表情で私を見ていたが、何も言わなかった。 ********  夜半に激しく窓を叩いていた雨も止み、朝日に緑がキラキラと輝いている。     
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