1 魔女と私

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ミュゥミュゥという鳴き声はおそらく仔猫のものだろう。 窓を開けて外を見渡せば、いた。 木の枝にしがみついている黒い仔猫。 仔猫も此方に気付いて、ミュゥと助けを求めるように鳴き声を上げる。 木の枝は窓のそばまで伸びている。おいでおいでと呼んでみるが、震えるばかりで枝を歩いてくる余裕は無さそうである。 それならこちらから行って、抱いて戻ってくるしかない。 枝は丈夫そう、ではない。 下から登るには私の背の届く高さに枝が無いので無理そう。 上を見上げれば、立派な枝が屋根に向かって伸びている。あれなら私の体重を支えられそうだ。 私は窓枠に登り、その枝にぶら下がってみた。 しかし、そこから仔猫のいる場所までは5歩は歩かねばならない。 なるべく体重は上の枝にかけるようして、下側の枝の上を歩いた。 そしてどうにか仔猫のいるところまで辿り着いたはいいが、困った。 仔猫を抱いていては枝にぶら下がれない。 帰り道を考えずに進んでしまった5歩の距離がうらめしい。 思案の末に仔猫を私の肩にしがみつかせるように乗せて、来た時のように戻る事にした。     
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