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2 魔女と人狼
私が魔女になる?
そんなことがあり得るだろうか。
魔法を使えない魔女を魔女と呼べるのだろうか?
何処から突っ込んでいいのかも分からないまま呆然とする私にジェスリルはさらに説明を加えた。
「この館を守る次の主人が必要なんだ。私もいつかこの役目を終える。もし私が誰かにこの力を引き継がずに死んだ場合、最も魔女の血の濃いものが次のこの館の主人となるんだ」
ジェスリルが役目を終える?死ぬって事?
理解出来ずに首を横に振る。
ジェスリルはさらに先を続ける。
「この館は、人間から魔族を守る為に造られた。人間によって異端のものとして狩られ続けた人狼族、吸血鬼族、魔法使いたちを存続させることがこの館の主人の責務だ。
妹にはこの責務を全うする気は無いようだがな」
「妹って?」
今までこの館に訪れたものたちのなかに、ジェスリルの妹と呼ばれるような人はいなかった。
「私が選んだ者に魔力を引き継がなかった場合、私の妹にこの館の主人の座は引き継がれるだろう。純粋な魔女の生き残りはもう私たち姉妹しか残っていないからな。
そして妹は最近、アームスデン王に嫁いだそうだ」
「えっ」
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