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アームスデン王といえば現国王で、盛んに魔女狩りを行ってきた人物だ。それなのに魔女と結婚するとはどういうことだろう。
「エリル、俺たちはネイドリル、ジェスの妹にこの館の主人を任せるわけにはいかない。君が魔女を継ぐことを拒否した場合は、ネイドリルを殺すことになるだろう」
殺す?ロウが、ジェスリルの妹を殺す?
選べと言う割に、選ぶ余地が無さそうなこの選択肢はいったい何なのだろう。
「決めるのは今でなくていい。二、三年の猶予はある。ゆっくりと考えて決めて欲しい」
二人が私に魔女を継いで欲しいと思っているのは何となく感じられる。無理に押し付けようとするような二人でないことは、もちろん分かっている。
そして簡単に答えの出せる選択でもない。
魔女になれば、人間の寿命の5倍近い時を、この館から出る事無く生きなければならない。それはジェスリルを見て育ったから知っている。
でもまさか、自分にその選択肢が与えられるとは夢にも思わなかった。
「私、魔法は使えないけど?」
「私の力を引き継ぐので問題無い」
「ネイドリルって人のことも全然知らない」
「直に知ることになるよ」
「もし人間として生きる事を選んだら、ここには居られないんだよね?」
「そうなるだろう。どう生きて行くのかも含めて、二、三年の間に決めなさい」
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