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勢い良く、水の中から引き上げられる。
息が苦しい。
目が開けられない。
でも、どうやら死んでないようだ。
そこからはあまり覚えてないけど、気がついたら砂浜の上にいた。
「あぁ、俺、俺、死ぬかと思った。千夏が死んだら、俺――」
楓が座ったまま俺を抱きしめている。
ぼやあっとした意識の中で、俺は楓と密着するのは許されているのか……なんて馬鹿げたことを考えていた。
「千夏が死んだら……俺、生きていけねえよ……」
「何、で?」
俺は無意識に聞き返していた。
上手く声が出ない。
「何で、生きて、いけないんだ?」
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