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俺と楓は、帰りの車の中でも一言も話さなかった。
楓はまだ怒っているようだ。
車が駅に着き(一瀬さんは親切にも、帰りは俺たちの家の最寄の駅まで送ってくれた)、先輩達と別れた後、俺は恐る恐る口を開いた。
「ごめん……」
楓は横を向いた。
「別に……いいけど」
「……勝手なことしてごめん」
「雨宮先輩と何話してた?」
「え? あ、いや……」
楓のことは言いたくない。
「大丈夫かって声かけてくれて……それだけだけど」
ふうん、と楓は不機嫌そうに頷いて、俺の方を見た。
「俺の側、離れんなよ」
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