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たこ焼きは少し並んでいたので、俺は向かいの木の下で楓が買うのを待っていた。
本当に人が多くてクラクラする。帰りたい。
「あ、波崎じゃん」
顔を上げると、同じクラスの5人の男が俺の前に立っていた。俺は顔をしかめる。
奴らは、普段から俺と楓が一緒にいるのが気に食わないらしく、何とか自分たちのグループに楓を引き込もうとしている。
楓と一緒に行動すれば、女も寄ってくるし、自分達のステータスが上がると考えているらしい。
単細胞か何かなのか?
「いいねえ、ぼっちでお祭りか?」
いかにも、偏差値低いですアピールをしている一人が言った。
「楓がそこにいる。さっさとどっか行けよ」
俺はうんざりしながら言った。
俺は地味だけど、ヘタレじゃない……はず。
「は? 偉そうな口利くじゃん」
「お前のせいで、楓が女と行けないの知ってんの?」
そんなの、嘘だ。嘘。
楓は女に興味ない――俺は自分に言い聞かせる。
「楓から誘われたんだ。しかも、そんなのお前らに関係ねえだろ?」
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