2048人が本棚に入れています
本棚に追加
ついに核心をついた。
俺は片腕で自分の汗をぬぐった。
この汗はきっと、暑いからではない。
「え、どういうこと」
「俺たちだって誘っただろ。断ったじゃん」
「だって、俺、千夏と行きたかったし」
胸が熱くなった。
正直、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「いや、何で波崎なんだよ? お前、気遣いすぎ。あいつが行く人いないからって、世話焼く必要ないだろ」
世話を焼いてるんじゃない、俺が一緒に行きたかったからだ――
そういう言葉を俺は待っていた。
いや、言ってくれると思っていた。
でも、それは違った。
「だって千夏の世話を出来るのは俺だけだろ?千夏には俺が必要なんだ」
「そりゃそうかもしれねえけどさー、ほっとけばいいじゃん。お前とは世界が違うんだよ。あいつは」
「そんなに簡単な話じゃない。ほら、もう千夏帰ってくるから、あっち行けって――千夏?!」
俺は立ち上がっていた。
5人の笑い声が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!