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そう、私達は"家族"だ。血は繋がっていないけれど、確かに家族だ。だから私は一生変わらない物なのだと安心していた、のだ。
(そんなわけないのにね。ダニーも私も、リィだって、一人の人で、いつか結婚したり船を降りたりするって……わかってたはずなのにね)
家族は欠けないものだとどこかで思い込んでいたのだ。私たちは一生こうやって生きていくのだと安心していたのだ。
そんなのただの絵空事だというのに、私は安寧を夢見ていた。
(私もリィみたいにはっきりと「好き」って言えてたら違ってたのかな)
今頃隣の部屋で泡まみれで洗濯物を洗っているだろうリィの彼氏のことを思い出す。
とても気さくで、素直で見ているだけで心地の良い青年はリィといるときが一番幸せそうで、それはリィも同じだった。誰が見てもすてきなカップル。そんな二人。見ているだけで私も思わず綻んでしまうような、そんな二人だ。
あーあ。
「でももう終わったことだし。ね、そんなことより早く干しちゃおうよ。乾かなくなっちゃう」
「??っもう!サニアの意固地!」
「あははは、そういうリィは心配性だよ。私なら大丈夫だってば。そんなに弱くないよ」
平気。大丈夫。きっとそう言っていればいつか本当にだいじょうぶになるだろうから。
私は大きなズボンを一つ山から救出すると皴を伸ばして紐へひっかけた。
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