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「……ダニー、どうしてこんなところに、…村はどうしたの?」
「あの村は隣国に襲われちまった、もう誰もいない。俺たちも隣町まで逃げる途中で――」
「サニア!北東に賊が集まってきてる、このまま襲い掛かってくるつもりだよ!」
「わかった、戦闘準備!負傷してるマートン、ジェシカは二人を保護!ここで迎え撃つ!」
「「了解!」」
後輩たちに指示を出して私は自分の武器を手に取る。たかが賊とはいえこちらは戦えない者を2人も抱えているうえに片割れは身重、それに私たちは戦い帰りだ。それなりに疲労も蓄積しているし、武器の手入れも十分ではない。油断はできない。
「サニア、予備の武器は余ってるか?」
「……何言ってるの、ダニーは彼女を守ってあげなさいよ、夫でしょ」
「そうだけど。お前の家族でもあるだろ。指くわえて見てられるかよ」
「……」
荷物から戦利品の剣を見つけたダニーは、刀身を持ち上げてその様子を眺めている。
サニアが来てくれてよかったよ、おかげで俺も戦える。そう言ってダニーは笑った。思わず笑ってしまうくらい変わらない笑顔だ。
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