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ホワイト・シチュー・クリスマス
西園を一階で待たせて、急いで部長室に戻る。乱れた髪もそのままに鞄とコートを引っ掴んで、エレベーターに乗り込んだ。こんなに一分一秒が惜しいと感じたことはない。
エレベーター内でコートを着込み、手櫛で髪を整えた。一度落ちた髪は元には戻らないが、ビルの中にいる間くらいは体裁を整えなければならないだろう。
――近藤さんへのプレゼントが潰れちゃいます。
彼女らしくない渋い色の紙袋を持っているなとは思っていたが、まさか俺へのプレゼントだったなんて。一体何が入っているんだろう。それがどんなものであれ、彼女が俺のために選んでくれたのかと思うと胸が熱くなる。
――クリスマス以外も、一緒にいたいって言ったら駄目ですか。
上目遣いの潤んだ瞳に桃色に上気した頬。その顔であんな可愛いことを言われたら、スーパードライのままでいるなんて無理だ。男だったら俺じゃなくてもそうなるだろう? 締まりなく緩む口元を隠すように手を持ち上げる。眉だけは精一杯吊り上げて。
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