ホワイト・シチュー・クリスマス

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 西園は冷蔵庫の前に屈み、ごそごそと買ってきた食材を仕舞っていた。俺の足音に気付き屈んだまま振り返る。 「勝手に使ってますよ……あ。オフモードの近藤さんだ」  そう言ってふにゃりと笑顔を作った。 (嬉しそうに笑うよな) 「本当に殆ど入ってませんね。お酒ばっかり」 「野菜室なんて開けたことない」 「ええっ。冷蔵庫が泣きます」 「だから料理なんてしないって言ったろ」  西園は扉をパタンと閉め立ち上がった。俺は眼鏡のブリッジを押し上げて、西園のそばまで歩いて行く。冷蔵庫から溢れた冷気がひんやりと足元に流れた。  彼女の正面に立つと、両腕を腰に当てぷくりと頬を膨らませる。ヒールのないスリッパではますます低い身長だ。
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