第一章 絶望と異世界と狼男と少女

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「何か客を寄せられる手段が思いつけば良いんだが……あるのは種類と人手だけだしな」 「周りには、ボックルちゃんの店より繁盛した専門店がある……結構状況は厳しいよね」 「そうだな……」  呟いたネロが、ふと思い出したように訪ねてきた。 「そういや……昨日店で言ってた『こんびに』って何だ? どういう店だ?」 「コンビニ?」  確かに昨日そんな事を言ったような気もする。 「コンビニってのは、弁当や飲み物を売ったり、あと薬や化粧品や雑誌とかを置いてる店のことよ。大抵のものは置いてあるから、どんな人もよく来るわ」 「どんな人も? 例えば子供や老人とかもか?」 「来るわよ。一つの店に色々置いてあるから」 「ふむ……」  顎の下に手を置いて、ネロがシンキングポーズをとる。彼は今、どんな事を考えているのだろうか。  考えなければいけないことはたくさんあるが、今はとりあえず目の前の朝ごはんを食べよう。
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