第一章 絶望と異世界と狼男と少女

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 部屋に一つしか無い窓から、今日も朝日が入り込んでくる。  入り込んだ朝日は、布団に寝そべった私の足下を照らし、そこから下半身、上半身と上へ伸び、最後に頭を照らしつける。  その瞬間が私の起床する頃だ。朝日に目を細めながら起き上がった私は、まだ半分眠りの中にいる頭で、辺りを見渡す。  自分が寝る布団の左側には、所々穴の開いた襖で閉じられた押し入れが。右側の壁には脚の折られた卓袱台が立て掛けられ、その隣には簡易的なシンクがある。  一通り見渡した私は、その場で溜め息をつく。 「やっぱり何も変わらないか……」  自然と言葉を呟くが、それを聞く者もこの場にはいない。  この四畳半程の部屋は、私にとっての棺桶である。  私はこの場所で、残りの人生を生きなければならない。決して義務や命令では無いが、私がそう決めたんだ。  そう決めざるを得なかったんだ……
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