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確かにこの商店街には、青果店も精肉店も本屋も薬局もあった。
「そもそも第一、なんで商店街にそんな店を開いてしまったんだ?」
「それは……都会の土地は高いから手が出せなくて、俺達の所持金で買えたのがここだけだったんだ」
「所持金? 土地を買う? お前ら元からここに居たわけじゃ無かったのか?」
「あぁ、俺達は元々、森の妖精だったんだ」
「森の妖精!?」
突然のカミングアウトに、私は激しく反応する。実を言うと、私は昔から妖精とかそういった類いが好きだ。森の妖精というからには森にいるもんだと思っていたのだが……
「なんで森の妖精が商店街で商売してるのよ!?」
「それは……色々事情があって……」
「事情って? あと舞は席に座れ。きょうだい達が怯えてんぞ」
私が席に座ったのを確認してから、再びボックルちゃんは口を開く。
「俺達は元々、ちゃんと森に住んでたんだ。でも、そうもいかなくなって……」
ボックルちゃんの声がトーンダウンしていく。
「そうもいかなくなったって……何があったんだ?」
「……俺達が住んでた森は、レムレスの森だったんだ」
その言葉を聞いて、ネロが目を開いたのが分かった。でも、レムレスの森なんて初めて聞いた私は、ピンとこない。
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