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「……え?」
ネロの言葉に、私は声を失った。
「嘘……伐採って……それも、人間が……?」
「信じられないかもしれないが本当だ。……信じたくは無いと思うが」
口元を歪ませながらネロが告げる。歪んだ口元から、鋭い犬歯が見えた。
「で……でも、なんで? なんで人間はその……レムレスの森? その森を破壊したの?」
「道路を造るためだよ」
ずっと黙っていたボックルちゃんがボソッと答えた。
「人間達は、レムレスの森を無くして道路を造れば、国同士の結び付きが強くなるって判断したんだ。そのせいで、俺達の住んでいた森は見る影も無くなっちまった」
「…………」
淡々と話すボックルちゃんに、私は罪悪感を覚えた。レムレスの森の事を私は知らない。でも、同じ人間の行いだというだけで、私は彼に謝らなくてはならない気がした。
「いっしょに暮らしてた仲間も、皆散り散りになっちまった。最後に俺の手元に残ったのは、僅かばかりの金と、このきょうだい達だけだ」
そう言って、ボックルちゃんは傍にいた子達を抱き寄せる。
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