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「解決する──ってカッコつけたのは良いけどさ、具体的にどうするつもりなの?」
私の問いに、ネロは沈黙で返す。
「私達出会って間もないけどさ、ネロが結構調子に乗りやすくて、ええかっこしいなのは今日一日でよく分かったよ」
「…………」
相変わらずだんまりを決め込んでるネロの背中に向かって、私は構わず続ける。
「それと私がどこから来たのかまだ分かんないよね? 色々情報が入りすぎて混乱してるけど、結局この世界はどんな──」
「えぇい少しは静かに出来ないのか!!」
振り向き様にネロが吠える(遠吠えじゃないわよ)。その時ネロの体が傍にあった本の山にぶつかり、山が崩れる。
「わーっ!」と叫んで、本の山を直し始めたネロを尻目に、私は歩きながら部屋を眺める。
今私達はボックルちゃんの店を出て、ネロの事務所に帰ってきている。店ではあれこれアイディアを出したのだが、結局これといった名案は浮かばず、その時点で時刻は遅くなっていたので『じゃあ続きは明日』ということになったのだ。
その時になって気づいたが、この世界にも夜はあるらしい。ずっと日の照る世界だったらどうしようと思ったが、杞憂に終わって良かった。
本を直し終えたネロは、部屋を眺めていた私に向かって言った。
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