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「君の事については、これから色々調べていくよ。とはいっても、今はあまりにも分からないことが多すぎるけど」
「うん……分かってる。あまり期待はしないでおくよ」
本棚に入った本の背表紙を目で追いながら、私は答える。
今日一日、本当に色んな事があった。今まで当たり前だった筈の日常がどこか遠いところへ行ってしまい、突然知らない世界へと放り投げられてしまった。そんな感覚だ。
これから私はどうなるのか……そしてどんな振る舞いで生きていけば良いのか……分からない事があまりにも多すぎる。
多すぎる……けど今はとりあえず──
「眠い……」
霞んできた目を擦りながら、私は呟いた。
「眠い? そうか、もうそんな時間か。君はそろそろ寝た方が良いな」
「寝るって……どこで?」
「え?」ネロがキョトンとする。
「……外?」
「泣くわよ?」
「冗談だよ。二階に寝室があるから、君はそこで寝るといい」
「本当?……あなたはどこで寝るの?」
「僕はそこのソファで寝るよ。寝場所にこだわりは持ってないからね」
……意外と良い奴じゃない。
いや、良い奴なのは知ってたか……
「ありがとね」
少し照れ臭くて、それだけ言って私は二階へ上がった。
「……寝室を貸した理由が分かったわ……」
二階の寝室というのは、服や本や変な置物が乱雑に置かれた部屋だった。
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