第一章 絶望と異世界と狼男と少女

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「ほら、そろそろ起きな」  眠っている私の頭上から声が聴こえてくる。 「う……うん?」  目を薄く開くと、視界に狼の顔が飛び込んできた。 「……あれ? ここどこ……?」 「寝ぼけてるのか? 探偵事務所だよ。その様子だと、グッスリ眠れたようだね」  その言葉で、少し覚醒してきた私の頭は回転し始めた。  ここは私の家では無い。昨日私は昼飯を買いに行った帰り道で、謎の異世界に迷い混んだんだ。そこで今目の前にいるネロと出会って、色々な事があった。 「早く下に降りてきな。朝ごはん用意してあるから。あぁ、それと」  ネロが私に、大きめの紙袋を差し出す。 「これは?」 「知り合いの服屋に、適当な服を見繕ってもらったんだ。ずっとその服のままという訳にもいかないだろう?」  言われて私は、昨日からずっとジャージのままだったということに気づいた。  紙袋の中に入った服を適当に取り出すと、ブラウンのロングスカートが出てきた。 「あ、良かった。もっと派手なのが出てきたら遠慮していたよ」 「気にいただけたようで何より。取り敢えず今日はそれに着替えてくれ」  そう言ってネロは部屋を出た。  言われた通りに、私は渡された服に着替える。     
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