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「そういや、ちゃんと着替えたのっていつ以来だっけ……」
ふとそんな事を考えたけど、あまりにも前すぎたのか、思い出すことが出来なかった。
ネロが用意したのは、スカートとボタンの付いた白いブラウス。それと若草色のセーターの三点。部屋にあった鏡で見てみると案外悪くない。
ネロのファッションセンスが絶望的で無かった事に、私は感謝した。
一階は事務所のスペースと、その奥に私生活用のスペースがある。朝ごはんが用意されていたのは、私生活用スペースの食堂だった。
「わ、すっごい!」
テーブルには、レタスとトマトのサラダと一緒に目玉焼きがのった皿と、コーンスープが入ったカップが置かれていた。テーブル中央のバスケットには、香ばしい香りのクロワッサンが入っている。
「これ全部ネロが作ったの?」
「サラダと目玉焼きはね。でも両方作るって程の物でも無いし、大半は商店街で調達したものだから大したこと無いよ」
「いや、私こんなTHE・朝ごはんって久しぶりに見たよ。食べて良いの?」
「もちろん。そのために作ったんだしさ」
美味しそうな食事を前に、私は面白いくらいに素直だった。席につくと、すぐに目の前のクロワッサンに手を伸ばしてかぶりつく。
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