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幕間 break time……1
私の名前は久留米舞。親に捨てられ独り暮らしを強いられていた事以外は、ごく普通の十八歳女性だ。
そんな私はある日、ひょんな事からとても不思議な世界へと迷い混んでしまった。自分の他の人間は数少なく、獣人や妖精と呼ばれる種族が当たり前のようにいる世界だ。
そんな世界で出会った狼の獣人──ネロの家に居候することになった私は、ネロの営む探偵事務所で、依頼人兼探偵助手として生活している。
「…………」
生活している──のだが。
「暇だ……」
私はソファで寝そべって、そう呟いた。
「……仕方ないだろう、依頼が来ないんだから」
私の視線の先にある、マホガニー製の机に腰かけたネロが答えた。
「依頼人が全然来ない探偵事務所なんて、探偵事務所として致命的じゃない。ボックルちゃんの時が、最後にやった依頼らしい依頼だったし」
「ちょっと待った、それは心外だぞ。確かに依頼人は少ないが、決して全然来ないわけでは無いからな」
言いながらネロがこちらに歩いてくる。
「それに、依頼ならこの前来てたじゃないか」「逃げたペットの猫を探してくれっていうね。まさか異世界で猫探しをする羽目になるなんて、思いもしなかったわよ」
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