ある夜の物語

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「俺は絶対、鈴音の嫌がることはしない。信じて」 それでもさっき乱暴してしまったことは事実なので、春一は心を込めてそう宣言する。 すると鈴音は、 「嫌なことなんかありませんよ」 ニコリと笑う。 「春さんにされて嫌なコトなんて何もありません」 ――ああ、もうダメだ―― 春一は心の中で完全降伏。 鈴音には、どうしたって敵わない。 「うん」 春一は今度こそ覚悟を決めて、そっと鈴音に触れた。 「優しくする。鈴音のことはとことん甘やかす。だから覚悟して」 これ以上ないくらい甘やかして、身も心も蕩けさせる。 俺を忘れられないくらい甘やかせてしまえば、鈴音は、俺から逃げ出そうなんて考えない。 そんなことをふと企む春一に、鈴音は、 「なんだか、目が危ないですよ春さん」 どこか楽しそうに囁いた。      ――了――
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