幸運の四つ葉のクローバー

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子どもの頃、公園なんかの草原で、四つん這いになって必死に探した四つ葉のクローバー。 手も足も泥だらけ、ズボンの膝も顔も汚して、でもそんなの気にならないくらいに夢中で、三つ葉のなかの四つ葉を求めた。 僕にとって四つ葉のクローバーは、ただのラッキーアイテムじゃなくて、大好きな人との関係を細い糸のような可能性で繋ぐ、頼みの綱だった。 小学生の頃、喧嘩をしてしまった大好きな女の子に、四つ葉のクローバーを渡して仲直りしたのがきっかけだった。 喧嘩の内容はもう覚えていないけど、あの時君は本気で怒っていたし、僕もムキになっていた。でも家に帰ってからすぐにモヤモヤしてきて、なんだか無性に悔しくなって、居ても立ってもいられなくなって。 家を飛び出し公園へ行って、がむしゃらに走り回って、転んだ。何が悔しかったのかって、君に謝れない僕が意気地無しで、カッコ悪かったから。 たいした怪我はしなかったけど、痛くて痛くて。怒った君の顔が浮かんで、もっと胸が痛くなって。 涙で滲む目の前、三つ葉に埋もれるようにして四つ葉のクローバーが咲いているのを見つけたんだ。
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