幸運の四つ葉のクローバー

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僕の手元には、たった一本の四つ葉のクローバーがある。小物作りが趣味の母親に頼んで、押し花にした四つ葉を、ガラスに閉じ込めてキーホルダーにしてもらった。 君から贈られた四つ葉のクローバー。できるだけ長く、できればずっと残しておきたくて、宝箱にしまう。 僕から君に贈った四つ葉のクローバーは、一体いくつになっただろう。もちろん一度にたくさん渡した訳じゃなくて、長年つもり積もってそうなった。 しかも全部、公園の草原を探して見つけた野性のもの。一年に一度くらいしか見つけられなくて、その時によって大きさはバラバラ。 なのに、そのどれもが君の笑顔を取り戻し、僕らを繋ぎ直してくれた。僕らの間に四つ葉のクローバーが必要不可欠となり、それはどんな贈り物よりも強く二人を結んでくれた。 四つ葉の数だけ僕が君を怒らせ、悲しませてきたという事でもあるし、四つ葉の数だけ、僕らはすれ違い、励まし合い、運を……幸運を願った。 当たり前のように僕らは共に人生を歩むようになって、寄り添う日常の傍らにいつも……四つ葉のクローバーがある。 記念日に贈り合うプレゼントも、つい四つ葉のモチーフを探してしまうほど。
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