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真冬の季節。どこまでも真っ白に覆われて、震えるほどに寒い。
僕らの間には相変わらず四つ葉のクローバーと、新たな幸運の存在があった。今はその小さくて確かなぬくもりを抱きしめ、あいしてるよと囁くと、実家の母親に預けた。
不安げに涙を浮かべる孫を抱き、母親は道草するんじゃないよと、それだけ言った。
それに頷きながら、真っ白な雪の道に足跡だけを残して走り出す。向かったのは昔からお世話になっていると言っても過言ではない公園だ。
しばらくご無沙汰している間に、記憶に残る景色よりも小さくなった公園には、子どものものと思われる足跡が点々とついていた。
その中に足を踏み入れて、愕然とする。
当たり前ではあるけど、今は冬だ。四つ葉のクローバーどころか、三つ葉さえ……青々とした草の一本も生えているはずがないのだ。
「ばかだな、僕は……」
積もった雪に膝を落として、空を見上げる。四つ葉のクローバーに頼りすぎている自分にも、絶望を感じた。
僕はただ、君に笑顔になってほしいだけ。君を励ますための、応援の後押しに四つ葉のクローバーが欲しかった。
君の笑顔が、見たかったから。
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