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朝食を摂ってからほとんど時間も経っていなかったけど、このまま宿に戻るのも悔しくて、私は屋台の前で財布を開いた。
牡蠣はフランス産とオランダ産があって、お酒はシャンパンと白ワインがある。私はどちらも安い方を選んで、飲み物とレシートを受け取ると空いているテーブルを探した。
一つは既に出来上がった現地の男たちの集団、一つは家族連れの観光客で埋まっていて、残す一つは、屋台の店主と同じエプロンを付けて、休憩中と見える若い男と、彼とたどたどしい英語で談笑しているアジア人の青年がいるテーブルだったが、私はここには行きたくなかった。しかし私がワイングラスを持ってキョロキョロ辺りを見回していると、親切な店主が「そっちのテーブルが空いてるよ」と大声で示したため、青年は私のために少し左に体を寄せた。
「ブリュッセルにはいつ着いたんですか?」
「五日前。フランスからユーロスターで来たの」
「リッチですね」
青年は東京の学生だった。ロンドンの語学学校に留学していて、休みの間にベルギーを観光しに来たらしい。
「学校の奴ら、みんなフランス行っちゃって。週末あと一回しかないから、これは一人でも行っとくしかないなと思って」
「ベルギーが好きなの?」
「まあなんか、まわりに行った奴いないから、自慢できるかなと思って」
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