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「何?」
落ち着いた声で返される。
『何?』って……!心臓がばくばくいってる。
絶対佳波さんにも聞こえてるだろうなぁ。
と思った瞬間、佳波さんがふふっと笑った。
「亜夜の心臓すごい早い。緊張してる?」
「そりゃそうですよ……!」
いつも抱きしめられるのとは違う。
だって、肌が直接……。温泉の熱とも相まって体が熱くなる。
「あ、あの……」
「ん?」
「佳波さん、こっそりお酒飲みました?」
もう酔ってるとしか思えない佳波さんの行動。
だけどお酒を飲んでいるところは見てない。
「飲んでないよ。素面」
素面でこれって……。ほんとに何があったんだろう。
緊張して、何が何だか分からなくて、だけど嫌ではなくて。
固まっていると佳波さんが言った。
「亜夜は、私のだから」
何を今更。
そう言おうとして、だけど言えなかった。
ああ、やばい……。
「……気分悪いです……」
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