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「ほんとにすみません……」
あれからすぐに温泉を出て部屋で横になっている。
佳波さんはうちわで扇いでくれている。
「気にしないで。私も悪いと思うし」
「いや、私昔からすぐにのぼせるんです。忘れてて……」
そのうえ今日は佳波さんが……。
思い出しただけで頭がくらくらする。
なんで急にあんな……。
ちら、と佳波さんを見ると目が合ってしまった。
「大丈夫?」
体を起こすと一瞬目の前が変になったけど、多分もう大丈夫。
喉が渇いた……。お水が欲しい。
探していると佳波さんが用意してくれて。
「ありがとうございます」
冷たい水が喉を通って気持ちいい。
「……佳波さん」
「ん?」
「どうしたんですか?」
コップを置いて覗き込むように聞くと、佳波さんは不思議そうな顔をした。
またこの人は私が何も分かってないと思ってる。
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