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酔ってないのにあの行動は何もないわけがない。
絶対何かあるんだ。
「さっきの、」
「ああ、何でもないよ。気にしないで」
私の言葉を遮るようにして言われて。
その言い方にむっとした。
いつも私には何も教えてくれない。自分は平気なふりをして弱さを隠して。
『何でもないよ』って笑う佳波さんは嫌い。
いつもいつも私は心配されてばかり。
ずるい。
心配くらいさせてくれてもいいのに。不安も聞かせて欲しい。
「気にしないわけがないでしょう……!佳波さんがいつもと違ったらおかしいと思うのは当たり前です」
私の言葉が予想外だったのか、佳波さんは驚いたように私を見つめた。
真っ直ぐに視線が合う。
「なんでいつもいつも私には何も言ってくれないんですか。佳波さんは分かりにくいんですよ!言葉にしてください」
『亜夜は分かりやすい』って佳波さんが言ってた。佳波さんはきっと私のことを何でも知ってる。
でも私は佳波さんのことを何も分からない。知らない。
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