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だから聞かせてほしい。なんでも言葉にしてほしい。
佳波さんが呆然と私を見つめる。
何言ってるんだって思ってるかな。
いいよ、どう思われても。今は言いたいことを言いたい。
「何か思うところがあるなら私にも聞かせてください。不満があるなら言ってください。不安だって教えてください。疲れたら『疲れた』って、辛いなら泣けばいい。苦しいなら私にも分けてください」
どんな感情でも口に出してほしい。
じゃないと私には分からないから。
「弱さを隠さないでください」
佳波さんの瞳が揺れた。
そして言葉を探すように視線が泳ぐ。
「私はもう子供じゃないんですよ……」
そう言うと佳波さんの目が真っ直ぐ私を見た。そして、困ったような笑みを浮かべる。
「……うん、」
私は佳波さんを困らせるようなことを言ったのかな。
困ってるのかな。それすらも分からない。
「知ってるよ。亜夜はもう子供じゃない」
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