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だって、私は何も分からない。
佳波さんのことも、自分のことすらも。
正解も不正解も。
何も分からない。
「答えなんて目に見えないんですよ。分からないことも間違えることも当たり前です。私は、佳波さんのテストで100点をとれませんでした。目に見える答えがそこにあったのにそれすらも分かりませんでした。佳波さんは私から離れますか?」
『そんなこと……っ』
「一緒ですよ」
沈黙がおりた。
ああ、なんて言おうか考えてるんだろうなぁ。なんて思って。
私は携帯を耳にあてたまま空を見上げた。
星と月が綺麗。
手を伸ばしてもみても絶対に届かない。
だけど、だから手を伸ばすんだろうなぁ。
もしも届いたら?
それでもきっと変わらずに綺麗。思っていたのと違っても私は月も星も大好きなまま。
……佳波さんは月だ。
ふとそう思って笑いがこぼれそうになった。
危ない危ない。電話は繋がったまま。
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