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そしてその二人がそれぞれの場所に帰ろうとしていたまさにその時、真昼間の空にキラキラと尾を引いた流れ星が見えた。
二人はその光の尾をずーっと目で追って、ずーっと、ずーっと、追い続けて、二人の丁度真ん中に、
『ズドーン !!!!!』
と落っこちた。
「お、おい君・・・大丈夫か・・・」
その場所に落っこちてきた男は黒いスーツに黒いネクタイ。黒縁の眼鏡をかけ、きっちりとした七三分。
「コードネーム00M896任務遂行中・・・・」
「遂行中って・・・えがったっすか~煙出てっちゃ・・・」
「おまえ、勢いよく頭打ってたけど・・・医務室行くか?それとも救急車?」
「私は大丈夫、国王、王子、お怪我は・・・」
「え?・・・国王・・・」
「王子・・・?」
顔を見合わせる鏑木と時雄そして二人は思った。
ダメだコイツ・・・
「誰のこと言ってんの?」
「さ、ここは危険です。中へ・・・」
「ごめん・・・俺、たばこ休憩中だから。」
「国王、いけません。ここは丸見えです。どこから命が狙われているか・・・」
「誰もこんなおっさんの命狙ったりしねえよ。」
「・・・ひょっとして、下々の者に御目見得のお時間でしたか。」
「この会社で俺が一番下だよ。下々の下。嫌味か!」
「あの・・・おい、もうけえっていいですかぁ・・・バイトあんで・・・・」
「だめです王子。どこ行かれるんですか。警護は私一人ですから、離れないでください。」
「いや、おいはね、王子ではなねくて・・・・」
二人共、もう一度思った。
コイツ、絶対、ダメだ・・・
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