3 平穏無事な日々

6/6
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
「そういえば、一緒に遊んでた葉月がどうしてできてるんだよ」  問題集を持っている葉月を見ていたらそのことを思い出した。 「俺もできたの昨日だし。だから、今更遅れてもいいよ」  そう言って、葉月は俺の机に問題集を置く。 「ダメ。葉月は一瞬でも早く出せ」  葉月にそんなことをさせるわけにはいかない。すぐに問題集を返す。 「葉月は解答、持ってるのよね」  本を読んでいた美羽が本から目を離さずに言う。 「持ってる」  美羽を見て葉月は言った。 「じゃあ、葉月は宿題を提出して、放課後になったら一緒に勉強すればいいんじゃない?」  ボクと葉月はそう言いながら本を読み続ける美羽を見つめた。美羽はページをめくる。 「今日って、予定なかったよな」  葉月がボクを見て言う。 「うん、ない」  ボクも葉月も帰宅部だ。 「じゃあ、そうするか?」 「……まあ、いいけど」  ボクは葉月と居られるなら文句はない。 「ふぅ」  美羽は一仕事終えた、という感じでため息をつくと、黙々と本を読んでいた。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!