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4 放課後デート
放課後、葉月とファーストフードの店に来た。
ここならいくらでも話せる。隅の二人がけの席に、ハンバーガーのセットを持って着いた。座った時に見えたポスターに、ペンギンのキャラクターが描いてあった。
「このキャラ、かわいくね?」
ポスターを見ながら、シェークを飲んで言う。
「……かわいい?」
葉月は困ったような顔をした。
「ほら、コレ」
自分のスマホに付けていたストラップを見せる。ポスターのキャラクターと同じ、ニコニコした小さなペンギンのマスコット。
スマホを渡すと、葉月は不思議そうな顔で見ていた。
「これ、もう一個あるから、やってもいいぞ」
葉月からスマホを取り返す。
「別に……」
と、葉月は迷惑そうな顔をした。でも、ボクはスマホからストラップを外し、葉月に渡した。葉月は渋々と自分のスマホを出して、何もついていないスマホにつける。
「表情違うけどお揃いだぞ」
その様子を見て笑顔で言った。
「表情が違う?」
葉月が顔をしかめてペンギンの顔をまじまじと見る。
「それ、笑ってるけど、ウチにいるペンギンは笑ってない。どっちにしようか迷って両方買ったんだ」
「……ありがと」
何か言いたそうな顔でスマホをポケットにしまう。
葉月は嫌そうな顔をするくせに、言う通りにするところがある。
「大事にしろよ」
ホントはとっても気に入っていて、自分の分身を渡すような気分だが、葉月ならいい。きっと大事にしてくれると思うから。
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