【二】

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「よう子さん!ちょっと小山さんに言ってもらえませんか?いつも食事を残すんですよ。それも一口だけ」 後輩の美奈代が困ったように声をかけてきた。 よう子は首を傾げた。 「少しだけ認知症はあるけれど、小山さんは食欲はあるよね」 美奈代に尋ねる。 「はい。もう一口なんてわけなく入ると思うんですけど。小山さん、ニコニコしてるだけで、でもどうしても食べてくれないんです」 何か理由はあるのだろうが、美奈代もよう子も看護師だ。 栄養のバランスを考えて工夫された食事なので、患者さんに残さず食べてもらうのが基本だ。 「ん。わかった。私が聞いておいてみようね」 美奈代はホッとした様子で頷き、忙しそうに持ち場へ戻って行った。
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